Dieting|ピラティスは痩せるのか?

ピラティスをはじめるキッカケは「痩せたい」「綺麗になりたい」「細くて芯のあるカラダになりたい」「韓国アイドルのようなカラダになりたい」が多いと思います。

それぞれ理想の体型はあるかと思いますが、おおよそ共通しているのは「痩せたい(細くなりたい)」という気持ちだと思いますので、そこに絞ってお話します。

そもそもピラティスは痩せるのか?という話についてですが、結論からお話しますと、ピラティスでは痩せません。

え!?という反応ですね。

そもそもピラティスの起源は、第一次世界大戦中に負傷した兵士のリハビリのために開発された運動です。名前の由来となっている、ドイツ人のジョセフ・ピラティスによって考案されました。

Joseph Hubertus Pilates(1880 – 1967)
ジョセフ・ピラティス(左)、妻のクララ(右)

ここから言えることは「そもそも痩せるために開発された運動ではない」ということです。今でこそ美意識の高い人が通っているイメージがありますが、元々はリハビリのために開発された運動なのです。

ただ、これはピラティスに限った話ではありません。筋トレもヨガもその他多くのボディワークについても同じです。そもそも痩せることを目的として作られたわけではなく、筋力の強化や心肺機能の向上、姿勢や柔軟性の改善、血圧の改善、心身の不調を整える、健康維持などの目的で考えられています。

僕はピラティスインストラクターよりも、パーソナルトレーナーとしてのバックグラウンドのほうが長いのではっきり言えることですが、筋トレだけをしていても痩せるわけではありません。「トレーニング + 食事改善」がセットになることで痩せていくからです。

さらに言うのであれば、トレーニングをしなくても、食事改善だけでも痩せます。トレーニングをする理由は、痩せてきた時のボディラインを綺麗にするためであって、体脂肪を減らすのはあくまで食事によるカロリーコントロールだからです。なので、単に痩せたり、細くなりたいのであれば、運動は必ずしも必要ではありません。

ダイエットは「なにを食べるか」「どんな運動をするか」ではなく、結局は『カロリー収支』の問題です。この仕組みについては、以前こちらの記事に書きましたので、まだ読んでないという方は一度目を通してまたこちらに戻ってきてください。

1時間のマシンピラティスの平均消費カロリーは約100 ~ 200kcalと言われています。1時間ウォーキングをしたのと同じくらいの消費カロリーなので、そこまで多くはありません。カロリーメイト1 ~ 2本分です。それに毎日おこなうわけではありませんので、カロリー消費だけで考えるのであれば、毎日1時間のウォーキングをしたほうが、結果的にカロリー消費は多くなります。

ただし、ピラティスもウォーキングも、カロリーを消費するからといって痩せるわけではありません。痩せるというのは「消費カロリー > 摂取カロリー」という条件をクリアすることが必要だからです。

1日1,800kcal消費しているとして、2,000kcalの食事を続けている場合、カロリー収支はプラスなのでどんどん太っていくでしょう。そこで1時間のマシンピラティスを取り入れることで、消費カロリーと摂取カロリーのバランスが取れますので、太る生活に歯止めがかかります。

もし、1,800kcalを消費し、1,800kcalの食事を続けている人が(バランスが取れている状態)、1時間のマシンピラティスを取り入れると、消費カロリーが2,000kcalまでブーストされますので、カロリー収支はマイナスになります。この生活を続けていくと痩せる方向になります。

ただし、先ほどもお伝えしたように、毎日マシンピラティスをするわけではないので、それなら毎日コツコツウォーキングしたほうがダイエット効果は高くなります。つまり、ピラティスは「プラスα」の消費カロリーを増やすという効果はあるけれど、それと痩せるかどうかはまた別問題ということです。

なので、痩せたい人は『消費カロリー > 摂取カロリー』という条件をクリアすることが最優先課題です。この条件をクリアせずに、健康的な食事をしたり、ストレッチをしたり、ピラティスをしても痩せることはありません。余分な体脂肪というのは言い換えると長年蓄えた借金」のようなものです。ダイエットに宝くじはありませんので、少しずつ返済していくしかありません。

ピラティスでよく言われる「インナーマッスルを鍛えると代謝が良くなって痩せやすい身体になる」という効果も、あくまで”痩せやすい身体になる”だけであって「痩せる」ではないのです。代謝が高くなることで、消費カロリーの1,800kcalが1,850kcalまでブーストされることはあっても、それでも2,000kcalの食事を見直さない限りは、カロリー収支はプラスのままなので痩せることはありません。

痩せるには「カロリー収支」をマイナスにし続けることが大原則です。これ以外に痩せる方法は存在しません。あるとすれば、脂肪吸引などで人為的に体脂肪を除去する方法です。そこまではちょっと…という方がほとんどでしょうから、コツコツ努力するしかありません。

ただ、実際にピラティスを長く続けている人にスタイルが良い人が多いのは事実です。その人の生活をすべて観察しているわけではありませんので適当なことは言えませんが、一つだけ言えるのは、普段の生活の『カロリー収支』のバランスがきちんと取れていることです。

ピラティスによる消費カロリーも多少はプラスにはなっているでしょうが、それ以前に、食べ過ぎない、食べ過ぎたらリセットする、よく歩く、階段を使う、自転車生活にする、有酸素運動も取り入れる、ダラダラ過ごさない、といったベースの部分が整っていると思います。あるいは、ピラティスを始めたことで「美意識」や「健康意識」が高まり、普段の生活が整った結果として痩せていく、という逆のケースもあるでしょう。いずれにしてもカロリー収支のバランスが取れた生活を送っていることは確かです。

ただなんとなく惰性的にピラティスをしていても、姿勢が綺麗になったり、体力がついたり、気持ちが明るくなったりすることはあっても「痩せるかどうか」は別問題なのです。

ここまでハッキリ言うのも、みなさんピラティスをやりたいからピラティススタジオに通っているわけではなく、「身体を変えたい(綺麗に痩せたい)」からピラティススタジオに通っているはずだからです。僕のところではありませんが「1年通っても痩せない」「痩せないから辞めようか悩んでいる」という声を聞きました。プライベートレッスンなのかグループレッスンなのは分かりませんが、僕ならまずきちんとカウンセリングをして、その人の目標やニーズを聞き出します。もしそこで「痩せたい」という希望があれば「ピラティスでは痩せませんよ」などと突き放さずに、その人が目標を達成できるように様々な面からサポートしていきます(それがプライベートレッスンの強みです)

逆に、目標が痩せることではなく「筋力を高める」「姿勢を改善する」「柔軟性を高める」「しなやかな動きを作る」「身体感覚を高める」「心身の落ち着きがほしい」などであれば、ピラティスは間違いなく最適な選択だと言えます。

痩せたいという方にとっては、かなり悲観的な内容になってしまいましたが「痩せないならいいや」とはならないでくださいね。もちろん話はここで終わりではないからです。綺麗に痩せる方法をお伝えしていくのが僕の役割ですから、次回しっかり回収していきます。

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