同じガソリンの量でも、車の性能や運転の仕方によって、走れる距離は変わります。
これは、身体にも同じことが言えるのではないでしょうか。
運動というと、
「筋肉をつけたい」
「体力をつけたい」
「もっと頑張らないと」
そんなふうに、「何かを強くしなければ」と考えることが多いと思います。
もちろん、筋肉や体力をつけることは大切です。
でも、身体の使い方を知らないまま、ただ強くしようとすると、必要以上に力を使ってしまうことがあります。
たとえば、同じ距離を走るとしても、効率よく身体を使える人と、必要以上に力んでしまう人では、疲れ方が違います。
身体も車と同じで、同じエネルギーを使うなら、効率よく動けるほうがいい。
だから私は、身体を変えていくときに「もっと頑張ること」だけが答えだとは思っていません。
むしろ、その前に大切なのが、
「自分の身体をどう使うかを知ること」
だと思っています。
「きついほど効果がある」とは限らない
運動をすると、
汗をたくさんかいた。
息が上がった。
次の日に筋肉痛になった。
そんなとき、「しっかり運動できた」と感じますよね。
でも、運動は必ずしも「きつい=効果が高い」ではありません。
もちろん、目的によっては負荷をかけることも必要です。
ただ、毎回自分を追い込まなければいけないわけではありません。
「もっと頑張らないと」
「もっと汗をかかないと」
「これくらいで休んじゃダメ」
そうやって自分に厳しくしすぎると、運動そのものが苦しくなってしまいます。
現代の生活では、仕事や人間関係など、すでに十分頑張っている人も多いと思います。
だからこそ、身体を動かす時間くらいは、必要以上に力まなくてもいい。
私はそう考えています。
強くする前に、「使える身体」をつくる
私の運動指導のスタンスは、基本的に「追い込まないこと」です。
たまに、
「こんなにラクでいいんですか?」
と聞かれることがあります。
でも、身体を変えるために、いつも苦しい運動をする必要はありません。
私がピラティスで大切にしているのは、単純に筋肉を強くすることではなく、
「正しく、効率よく身体を使えるようになること」
です。
使われていない部分には、少しずつスイッチを入れる。
逆に、頑張りすぎている部分には、余計な力を抜いてもらう。
そうやって身体全体のバランスを整えていきます。
特に女性の場合、肩や腕、脚などに必要以上に力が入っていることがあります。
本当はそこまで頑張らなくてもいいのに、知らないうちに力を使い続けている。
そんな身体の使い方を少しずつ変えていくことで、無駄な力みが減り、身体はより自然に動けるようになります。
「頑張る」より「上手に使う」
私は、技術とパワーのどちらが大切かと聞かれたら、
「技術ありきのパワー」
だと考えています。
身体も同じです。
力があることだけが大切なのではなく、その力をどう使うか。
必要なところに必要なだけ力を使えるようになると、無駄なエネルギーを使わずに身体を動かせるようになります。
それは、見た目にもつながっていきます。
「細いけれど、芯がある」
「すっきりしているけれど、弱々しくない」
「力んでいないのに、身体が安定している」
私が目指しているのは、そんなしなやかな身体です。
頑張り方を変えてみる
身体を変えようと思うと、つい「何を足すか」を考えてしまいます。
もっと運動する。
もっと筋トレする。
もっと食事を減らす。
もちろん、それもひとつの方法です。
でも、ときには「何を減らすか」を考えてみてもいいと思います。
必要以上に入っている力を抜く。
頑張りすぎている部分を休ませる。
身体の声を聞きながら、無駄な動きを少しずつ減らしていく。
現代人は、すでに「力むこと」は十分得意です。
だからこそ、これからは「力を抜くこと」も覚えていきたい。
頑張ることだけが、身体を変える方法ではありません。
まずは自分の身体を知ること。
そして、身体を上手に使えるようになること。
その先に、無理なく続けられる運動習慣や、しなやかで美しい身体があるのだと思います。

