人間の祖先は猿人である、というのが一般的な考え方です。
しかし、それはほんの数百万年前の話。数十億年前に遡ると、人間の祖先は魚類だと言われています。海から陸に上がり、そこから今の形へと進化してきました。
なので、数十億年という長い歴史の中で見ると、猿人として過ごしていた期間はとても短いのです。ほとんどが魚類の時代を過ごしてきたことになります。そして、人間の脊椎動物としての基礎はこの時代に形成されたと言われています。
つまり、人間の祖先は「魚」ということになります。
人間と魚は、見るからに異なる生物です。けれど、脳と脊髄神経、そこから各臓器や筋肉に枝状に神経が伸びる構造はほとんど変わりません。大きな違いと言えば、ヒレが手足の代わりとなり、エラ呼吸が肺呼吸になっただけです。
どちらも共通しているのが脊椎(背骨)があるということ。すなわち、背骨の動きこそが「人間の原点」であるとも言えます。
そして、ピラティスでは背骨の動きを重要視している。「背骨の動きを感じましょう」「背骨を一つ一つ動かしましょう」「背骨をニュートラルに保ちましょう」という感じに背骨というワードが頻出します。
僕がピラティスをはじめた頃、インパクトを受けた言葉があります。
If your spine is inflexibly stiff at 30, you are old. If it is completely flexible at 60, you are young.
ジョセフ・ピラティス(ピラティスの創始者)
あなたが30歳でも背骨が硬ければ歳を取っている。あなたが60歳でも背骨が柔らかければまだ若い。
ピラティスの創始者ジョセフ・ピラティス氏は、年齢は背骨の状態で決まる、と考えていました。
たしかに街中を見渡しても、年齢的に若くても背骨が丸まっていれば老いて見えますし、逆に年配の方でも背骨がまっすぐに伸びていれば若く見えますね。
彼がヒントを得たのはネコですが(ピラティスの動きにはCat系の動きが多いのはそのため)、ネコにしても魚にしても、背骨が柔軟であることには変わりはありません。つまり、背骨を柔軟に保つことで、若々しく人生を送ることができるということです。
背骨に意識を向けると言うと、難しく感じるかもしれません。それもそのはずで普段意識することがほとんどないから。加えて、手足のように見える部分ではなく、体の中に埋まっているものだからです。
けれど、諦めない姿勢が大切。
Pelvic CurlやRoll-upなど、僕もはじめは「なにをやってるんだろう?」と思っていたエクササイズも、今になってその重要性がわかるようになりました。ピラティスを継続的に続けていくと、背骨への感覚が研ぎ澄まされます。そして、ラクに過ごすことができ、痛みからも解放され、姿勢が綺麗になるのを実感できるはずです。
すべては「背骨」から始まります。