これは僕がピラティスをはじめたばかりの頃に感じたことですが、1時間たっぷり動いたはずなのに、終わると「なんか運動したい」という気持ちになるんです。
ピラティスは身体が整うので、終わった後は背筋が伸び、羽が生えたような軽やかな感覚になります。これがすごく気持ちよく、運動したはずなのに逆にエネルギーが回復したような感覚になるので、もっと運動したい!という気持ちになれるのです。
普通、どの運動も1時間たっぷり動けば疲れますし「今日はたくさん動いたからゆっくり休もう」となるかと思います。筋トレがそうだと思いますが、階段を降りるのに脚がプルプルになり、ヘトヘトの状態でプロテインを飲み、そして明日の筋肉痛を恐れる、という感じになるかと思います。
ピラティスだとそういうことがないのです。「それはピラティスがラクだからじゃない?」という声が聞こえてきそうですが、とんでもないです。私事で恐縮ですが、20年以上は筋トレを続けてきましたし、アームレスリングで世界大会で表彰台にのぼり、登山やトレイルラン、スノーボード、トライアスロンなど、恐らくフィットネス業界の中ではトップクラスに運動経験が豊富なほうではあると思うのですが、それでもピラティスがラクだと感じたことは一度もありません。むしろ、今までのどの運動よりもハードなのではないかと思うほどです。「まわりの女性がこんなに動けてるのに、なんで自分はできないんだ(汗)」と感じたことも幾度もありました。
それでも終わったあとは『なんか運動したい』という気持ちになるので、これは本当に不思議です。僕はこれを『Ready to go(準備完了)の状態』と呼んでいます。70%くらいのバッテリーが100%まで回復するようなイメージでしょうか。普通は運動直後は20%くらいまで減り、ゆっくり休養して回復させる、という考え方だと思うのですが、ピラティスはしっかり100%まで回復するのがすごいところです。
なので、僕はランニングに出掛ける前にも、軽くピラティスの動きを実践するようにしています。すると、身体が整った状態になりますので、動きが軽やかになり、力みや無駄な動作もなくなり、とても走りやすくなるのです。
運動というと、一般的には筋力強化や持久力強化など『なにかを強くする』ということを考えがちです。そうではなく、まずは筋肉を柔らかくしてあげる、姿勢を整える、眠っている筋肉を起こしてあげるなど「動きやすい環境」を整えてあげることが大切なのです。ピラティスを正しく実践することで、今までの運動の概念が180度変わるかと思います。
身体のエネルギーが回復するのがピラティスの醍醐味