ピラティスでインナーマッスルを使う方法|お腹をすっきり、くびれをつくるコツ

すべての動きはセンター (コア)から起こるという原理はピラティスで共通のテーマであり、すべてとは言わないが、多くのエクササイズでコアの筋群を動員することに重点が置かれる。もちろん、運動は深層の支持機構がなくても可能であるが、深層からの支持、保護、効率的な機能は得られないだろう。

Rael Isacowitz(BASI Pilatesの創始者)

ピラティスというと、

「インナーマッスルを使う」

「体幹が鍛えられる」

というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

もちろん、これはピラティスの大切な特徴のひとつです。

ただ、ピラティスの動きをなんとなく真似したり、動画を見ながら身体を動かしたりするだけでは、本来使いたい筋肉をうまく使えないことがあります。

すると、身体の表面にある筋肉ばかりが頑張ってしまい、肩や首、脚などに余計な力が入ってしまうこともあります。

ピラティスで大切なのは、単純に「インナーマッスルを鍛える」ことではありません。

身体の中心を安定させ、そこから手や脚などの動きをつなげていくこと。

これが、ピラティスの大きな特徴です。

今回は、ピラティスをするうえでとても重要な

「インナーユニット」

について、できるだけ分かりやすく解説していきます。

「ピラティスをしているけれど、お腹の力がよく分からない」

「インナーマッスルを使う感覚が分からない」

「体幹を安定させたい」

という方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。

目次

そもそも「コア(体幹)」とは?

「体幹が大切」

「体幹を鍛えましょう」

という言葉は、ピラティスに限らず、運動やトレーニングの世界でよく耳にします。

この「体幹」は、英語ではCore(コア)と呼ばれます。

身体の中心部分にあることから、「コア」と呼ばれているわけです。

そして、コア(体幹)には「広義のコア」「狭義のコア」があります。

広義のコア:頭・腕・脚を除いた胴体部分
狭義のコア:
お腹の深層にある筋肉群

今回お話しするのは、この「狭義のコア」についてです。

そして、この狭義のコアを構成する筋肉群を、ピラティスでは「インナーユニット」と呼びます。

お腹の奥にある、身体を内側から支えている筋肉たちです。

「インナーマッスル」と「インナーユニット」は同じ?

ここで、

「インナーマッスルとインナーユニットって何が違うの?」

と思った方もいるかもしれません。

インナーマッスルという言葉は、一般的には「身体の深いところにある筋肉」という意味で使われています。

そのため、肩や股関節など、身体のさまざまな場所にインナーマッスルは存在します。

一方、今回お話しするインナーユニットは、お腹や骨盤周辺の深層にある筋肉群を指します。

つまり、厳密には同じものではありません。

この記事では、ピラティスでよく言われる「インナーマッスル」という言葉を、主にこのインナーユニットという意味で使っていきます。

インナーユニットは「4つの壁」でできている

インナーユニットは、主に4つの筋肉によって構成されています。

インナーユニット(JCCA公式HPより引用)

【上】横隔膜(おうかくまく)
【下】骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)
【前】腹横筋(ふくおうきん)
【後】多裂筋(たれつきん)

いきなり難しい名前が出てきましたね。

すべてを覚える必要はありません。

まず覚えてほしいのは、

「インナーユニットは、身体の中心を4方向から囲んでいる」

ということです。

イメージとしては、筒状の缶でも、小さな箱でも、一軒家でも構いません。

上・下・前・後。

4方向から身体の中心を支えている。

まずは、そんなイメージを持っておいてください。

インナーユニットの役割は「身体を安定させること」

では、インナーユニットは何のためにあるのでしょうか。

大きな役割のひとつが、

「身体の中心を安定させること」です。

骨格をイメージしてみてください。

肋骨と骨盤の間には、背骨があります。

この部分は、家に例えるなら、一本の柱だけで身体を支えているような不安定な構造です。

そこで、身体の内側から支えてくれるのがインナーユニットです。

4方向から支えることで、身体の中心を安定させ、手や脚を動かしやすい状態をつくります。

ピラティスで「体幹を安定させましょう」と言われるのは、単純にお腹を固めるという意味ではありません。

身体の中心を安定させながら、必要な場所をしなやかに動かしていく。

この感覚が大切です。

「体幹が安定すると、身体はしなやかに動ける」

ピラティスでは、身体の中心を「パワーハウス」と表現することがあります。

パワーハウスとは、その名の通り、身体の動きを生み出す中心となる場所です。

ジョセフ・H・ピラティスも、身体の中心から動きが生まれることを重視していました。

『パワーハウスは体の肉体的な中心であり、そこからすべてのピラティスの動きが生じるべきだ』

Joseph Hubertus Pilates

中心が安定すると、手や脚などを必要以上に頑張らなくても動かしやすくなります。

たとえば、肩に力が入りやすい方。

脚に力が入りやすい方。

首が頑張ってしまう方。

こうした場合、身体の中心がうまく安定していないことで、別の場所が代わりに頑張っていることがあります。

だからこそピラティスでは、

「中心を安定させながら、身体の末端は自由に動かす」

という考え方を大切にします。

それが、ピラティスで目指すしなやかな動きにもつながっていきます。

腹横筋は「天然のコルセット」

インナーユニットを構成する4つの筋肉のなかでも、今回は腹横筋に注目してみましょう。

腹横筋は、お腹の奥にあり、身体をぐるっと一周するように走っている筋肉です。

イメージとしては、

「天然のコルセット」

と考えると分かりやすいでしょう。

腹横筋が適切に働くことで、腹部や腰まわりの安定に関わってきます。

実は、お腹の筋肉は一枚ではありません。

表面から見ると、

腹直筋 → 外腹斜筋 → 内腹斜筋 → 腹横筋

というように、何層もの筋肉が重なっています。

腹直筋は、いわゆる「シックスパック」と呼ばれる筋肉です。

一方、腹横筋はそのさらに奥に位置しています。

そのため、腹横筋は「お腹のインナーマッスル」と呼ばれることがあります。

「お腹を鍛える=くびれ」ではない

女性にとって気になるのが、やはりウエストやくびれではないでしょうか。

腹横筋は「天然のコルセット」のようにお腹まわりを支える筋肉です。

お腹を横方向から包み込むように走っているため、適切に働かせることは、ウエストまわりの安定や見た目の印象にも関係します。

そのため、腹部の安定だけでなく、ウエストのくびれやすっきりとしたラインにも関わってきます。

一方で、腹直筋や外腹斜筋のような身体の表面にある筋肉は、鍛えることで筋肉そのものが大きくなっていきます。

もちろん、これらの筋肉も身体を動かすうえで大切なのですが、「ウエストを細く見せる」という点だけを考えると、発達しすぎることで逆にウエストが太く見える場合もあります。

だからこそ、ピラティスでは表面の筋肉だけに頼るのではなく、腹横筋など身体の深層にある筋肉を適切に働かせることを大切にしています。

ピラティスでインナーマッスルを使う方法

ここからは、実際にインナーユニット、特に腹横筋を意識する方法をご紹介します。

難しい動きをする必要はありません。

まずは、身体の中心に意識を向ける練習から始めてみましょう。

2つの方法をご紹介します。

① パンツのゴム紐からお腹を離す

ひとつ目は、下着やウェアのゴム紐を利用してイメージする方法です。

仰向けになり、膝を立てます。

骨盤はできるだけニュートラルな位置にしておきます。

そこからゆっくり息を吐きながら、

「おへそより下のお腹を、パンツのゴム紐から離す」

ようにイメージしてみてください。

おへそを無理やり背骨に押し付ける必要はありません。

ポイントは、下腹部を薄くするような感覚です。

ピラティスや解剖学に詳しい方なら、左右の腰骨(ASIS:上前腸骨棘)の間に張られた紐をイメージして、その紐からお腹を離すように考えてもよいでしょう。

このように腹部を引き込む方法は、一般的に「ドローイン」と呼ばれます。

最初から完璧にできなくても大丈夫です。

まずは、

「あ、少しお腹の奥が働いたかも」

という感覚を探してみてください。

そして、ずっと力を入れ続ける必要もありません。

10秒ほど意識したら、一度リラックス。

これを繰り返すくらいで十分です。

② 骨盤底筋を引き上げる

もうひとつ、インナーユニットを意識しやすい方法があります。

それが骨盤底筋群を使う方法です。

女性の場合は、

「膣から水を吸い上げるように」

というイメージを使うと分かりやすいことがあります。

ただし、強く「ギュッ!」と締める必要はありません。

むしろ、

「キュ〜ッ」と、優しく引き上げる

くらいの感覚で十分です。

上手にできると、骨盤底だけではなく、下腹部も自然に引き込まれるような感覚が出てくることがあります。

ピラティスでは、

「骨盤底筋を引き上げましょう」

と声をかけることがあります。

骨盤底筋は、骨盤の底にある筋肉群で、骨盤内の臓器を支える役割などを担っています。

また、骨盤底筋を適切にトレーニングすることは、尿漏れなどの骨盤底機能の問題に対する運動療法のひとつとしても知られています。

腹横筋を実際に触ってみる

最後に、腹横筋が働いているかを自分で確認する方法をご紹介します。

左右の腰骨の出っ張り、

ASIS(上前腸骨棘)

を探してみてください。

そこから内側・下方向(それぞれ2.5cmくらい)へ少し移動したあたりに、指を優しく当てます。

そこで下腹部を軽く引き込んでみましょう。

腹横筋が働くと、指の下に「少し張りが出るような感覚」を感じられることがあります。

ただし、触診だけで筋肉の働きを正確に判断できるわけではありません。

「硬くならないから腹横筋が使えていない」と決めつける必要もありません。

大切なのは、

自分の身体の内側で何が起こっているのかを感じてみること。

最初はよく分からなくても大丈夫です。

ピラティスを続けていくなかで、少しずつ身体の感覚が分かるようになっていきます。

インナーマッスルは「頑張って鍛える」だけではない

ここまで読んで、

「じゃあ、ずっとお腹を凹ませていればいいんだ」

と思った方もいるかもしれません。

でも、それは少し違います。

インナーユニットは、日常生活の中で常に意識的に力を入れ続けるものではありません。

ピラティスで大切なのは、

必要なときに必要なだけ働かせること。

そして、動きの中で自然に使える身体をつくっていくことです。

最初は、

「お腹を凹ませる」

「骨盤底筋を引き上げる」

という意識が必要かもしれません。

でも、練習を重ねることで、少しずつ身体がその感覚を覚えていきます。

最初から「インナーマッスル」が分からなくても大丈夫

インナーユニットは身体の内側にあるため、最初からその感覚をはっきり感じられる方は多くありません。

スタジオでも、

「お腹に力を入れているつもりなのですが、これで合っていますか?」

という質問をよくいただきます。

でも、最初から完璧にできなくても大丈夫です。

ピラティスでは、身体を動かしながら少しずつ「自分の身体がどう動いているのか」を感じていくことが大切です。

インナーマッスルを無理に鍛えようとするのではなく、まずは呼吸をしながら身体の中心に意識を向けてみる。

その積み重ねによって、少しずつ身体の感覚が分かるようになっていきます。

身体の中心が整うと、動きはもっと自由になる

ピラティスは、単純に「お腹を凹ませる運動」でも「インナーマッスルだけを鍛える運動」でもありません。

身体の中心を安定させ、そこから手や脚、背骨などを連動させて動かしていく。

これがピラティスの大切な考え方です。

中心が安定すると、肩や脚などに余計な力が入りにくくなり、身体をより自由に、しなやかに動かしやすくなります。

そして、その先にあるのが、

整った姿勢や、しなやかで美しい動き。

「くびれをつくりたい」

「姿勢をきれいにしたい」

「もっと身体を軽やかに動かしたい」

そんな願いも、ただ身体を追い込むのではなく、身体の内側に目を向けることから始まるのかもしれません。

自分の身体を少しずつ理解し、丁寧に動かしていく。

それも、ピラティスの大きな魅力だと思っています。

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