Evolution and Degeneration|進化の代償

リプトンのミルクティーが昔の味に戻ったことがここ最近の個人的な大ニュースです。

数年前からアッサム茶葉を追加した「ロイヤルミルクティー」として売られていましたが、個人的には「昔の味」が好きでしたので嬉しい限りです。”ロイヤル”という高級感は求めておらず、高校生の机の上に置いてあるような”シンプルに甘い青春の味”が好きです。

進化することが必ずしも良いとは限らないと感じています。

本題ですが、ランニングをする時は「ワラッチ」というお手製の薄底サンダルを履いています。「世界一走る民族」として知られるメキシコの山岳民族タラウマラ族が履いているものです。

初めて目にする人たちの反応は皆一様。「痛くないんですか?」という声を必ずいただきます。

痛くないんですね。登山靴に使われているビブラム素材を使っていますので、木の枝や小石程度ではビクともしません。画鋲でも踏まない限り問題ないでしょう。そもそも日本の道路は綺麗に整備されているほうなのでとても走りやすい。

世の中、厚底ブームですが、僕の中では「薄底ブーム」です。では、なぜ薄底を履くのか。

良いシューズに頼るほど「足が弱くなる」と考えているからです。世の中が便利になるにつれて人の身体は衰える、というのが僕の根底にある揺るがない考えです。

キャッシュレス化が進むことで計算能力が衰える、公園や遊具が減ることで子供の体力が低下する、自動車中心の社会になれば足腰が衰える、などです。

少し時代を遡れば、和式トイレから洋式に変わったこと、布団からベッドに変わったこと、雑巾掛けから掃除機に変わったこと、などいくらでもあります。

同じように、厚底化が進むことで足元は快適になったけれど、その代償として「足の筋力」は衰えると考えています。

足というのは、地面との唯一の接地点なので、重心の感知や姿勢の制御など重要な役割を果たしています。僕が違和感を感じるのは、これだけ時代が進化したにも関わらず「足が痛い」「膝が痛い」という人が後を絶たないことです。これはアマチュアでもプロでも同じ。身体のどこかに爆弾を抱えている人がとても多いのです。

古代まで遡れば、痛くて動けないというのは「獲物を獲れない」ことなので死活問題です。

道が整備され、良い靴が開発され続けることにより、足元の快適性は上がりました。ただ、安全であることが当たり前となり「足元」を意識しなくなったのも事実です。

マシンピラティスでは、基本的に「Foot Work(足のエクササイズ)」から始めます。足のポジションを変えて10種類ほどのエクササイズをおこないます。体幹部のニュートラル(正常なポジション)を意識しながら足を動かすことにより、正しい筋肉の使い方や足の動かし方を学び、同時に、その人の癖を見つけていきます。

地味ですが「重要」です。むしろ、地味なことほど「重要」です。

街を歩いている人の足元をよく見ると、内側が潰れている人、右足だけ外側に向いている人、擦るように歩いている人など、驚くほど一人一人特徴が異なります。若いうちは問題なく歩くことができていても、年齢を重ねたり、いざランニングをはじめてみた時に「痛み」が発生する可能性は高くなります。

それを「年齢」のせいにしがちですが、まずは日頃の習慣的な動作に原因があると考えています。

ピラティスには様々な効果がありますが、そのうちの一つが「機能的な体を作ること」です。Foot Workのようなエクササイズを繰り返すことで「地に足がついた感覚」が養われていきます。

失われつつある機能を取り戻していくという考え方は、ワラッチにしてもピラティスにしても同じです。

すべてをアナログに頼っていたら生産性が悪いですし、いくら時間があっても足りません。なので現代文明を否定しているわけではありません。付き合い方の問題だと考えています。けれど、たまには「不便」を感じることも大切だと感じています。

ワラッチに興味のある方は、僕の個人ブログに詳細がありますのでご覧ください ↓

【立川市】女性専門ピラティスイン...
【ワラーチの作り方】世界最強のサンダル「ワラーチ」でランニングしてみたら驚くほど快適だった話。 | 【... 世界最強のサンダル「ワラーチ」を自作してみました。 今回はその作り方を解説していきます。 ワラーチとは? ワラーチとは、世界一走り続ける民族と呼ばれているメキシコ...
目次