夏は暑く、冬は寒い。秋はあっという間に過ぎ去って行くし、春になると花粉がやってくる。そして梅雨になる。
そう考えると、快適にランニングができる季節って本当にないな、と感じます。季節だけではありません。明日走ろうと思っても、雨が降ったり、体調がすぐれなかったり、急な予定が入ったり。
ですので、ランニングにおいては『環境は選べない』ということを前提にしておいたほうがいいかと思います。
個人的には、今くらいの寒いシーズンがベストだと考えています。「寒くて走るなんてとんでもない!」と思いますが、それも「最初の10分」だけです。走りはじめは「やっぱやめておけばよかった」なんて思うのですが、10分を過ぎると、だいぶ体も温まってきます。ランニングの最大の壁は、暖かい部屋から寒い外に出るまでの時間なので、そこさえクリアできれば冬のランニングは怖くありません。
逆に言えば、夏と違ってそこまで汗もかきませんし、心拍数も安定するので、比較的快適に走ることができます。私のスタジオがある地域も、冬は氷点下になるのですが、やはり寒いのは最初の10分だけです。そこさえ乗り越えればむしろ快適です。
逆に気を付けなければならないのが、汗をかきすぎてしまうことです。寒いのでつい厚着をしたくなるのですが、それがかえって逆効果となります。汗が冷やされることを「汗冷え」と言いますが、そうなるとせっかく温まった体温が一気に下がってしまいます。なので、冬のランニングは、外に出た時に、「少し寒い」と感じるくらいの格好がおすすめです。
【上半身】スポーツブラ + ベースレイヤー + ロングTシャツ or 薄手のパーカー + ウインドシェル or ダウンベスト
【下半身】ロングタイツ or ロングパンツ
【その他】手袋 + ネックウォーマー
冬のランニング装備の一例です。
まず、スポーツブラですね。女性の大切なバストを振動から守ってくれますので、必需品です。できれば、スポーツ用のものがおすすめです。
ベースレイヤーは、肌に一番近いインナーウェアのことで、いわゆる「肌着」です。スポーツ用のベースレイヤーは速乾性に優れていますので、汗冷えを防ぐことができます。また保温効果もあるので、数着持っておくと便利です。私はモンベルのジオライン(ライトウェイト)を愛用しています。ユニクロのヒートテックの「スポーツ版」のようなイメージです。
ベースレイヤーの上には、ロングTシャツか薄手のパーカーがおすすめです。保温着としての位置付けになります。あまり厚手のものだと汗をかきやすくなってしまうので、薄手のものがおすすめです。
最後にウインドシェルを着ます。いわゆるウインドブレーカーです。スポーツ用の薄手のものがおすすめです。あまりに厚手のものだったり、通気性が悪いと、体の中で蒸れてしまいますので、それが汗をかく原因になります。登山で着るような厚手のGORE-TEX素材のものは、ウォーキング程度の運動には良いかもしれませんが、ランニングにはあまり向いていません。途中で脱ぐことになり、荷物になってしまいます。なので、少し寒いくらいの格好にしましょう。(サウナスーツは汗冷えの原因になるのでオススメしません)

ウインドシェルが寒い場合は、ロングTシャツや薄手にパーカーの上に、ランニング用のダウンベストを着るのもありです。表面積の大きい体幹部分を寒さから守ってくれます。腕も動かしやすく、蒸れにくいことが特徴です。
以上になります。このように「層」にして着ることを「レイヤリング」と呼びます。寒さの感じ方には個人差がありますので、これが正しい!という正解はありません。実際に走ってみるうちに、なにが必要でなにが必要でないかがわかってきます。
また「距離はどのくらい走ればいい?」というご質問も多いのですが、やはりこれも正解はありません。目的によって異なりますが、もしダイエットが目的であれば、30分程度のランニングを週2回くらいはできるといいですね。あくまで目安であり、それより少なくても効果がないということではありません。まずは体を動かすことを習慣化することが大切です。少しずつ体力は必ずついてきます。
「ウォーキングじゃダメですか?」と聞かれることも多いのですが、ウォーキングでもまったく問題ありません。人間の基本は歩くことです。特に普段歩く習慣のない方は、いきなりランニングをはじめると関節を痛めるリスクがありますので、まずはウォーキングからはじめましょう。そして慣れてきたら、少しずつランニングを取り入れてみましょう。ランニングのほうが効率良く体脂肪は燃えますので、ダイエット効果を実感しやすいかと思います。それがモチベーションにも繋がります。
冒頭でも述べたように、どの季節も快適にランニングをすることは難しい時代になってきました。これは私もそうなのですが「やらない理由を考えるのって本当に簡単だな」と思うのです。寒いから、疲れたから、明日やろう。結局、明日もやらないわけですが。でも、やらなければなにも変わりませんからね。それに、これだけは断言できるのですが、走った後に「走らなきゃよかった」と感じることはまずないということです。その代わりに「疲れたけどスッキリした!」と感じるはずです。ちなみに、走る前に「お風呂を沸かしておく」のがポイントです。温かいお風呂が気持ちいいですよ。
ぜひ、ご自身のペースでゆっくり楽しんでくださいね。

