頑張っているのに痩せない理由|運動で整える「食欲」と身体の仕組み

本来、入力と出力はイコールで結ばれるはずである。

「食べれば太る」「痩せるためには食事制限が必要」「運動してカロリーを消費する」。

ダイエットというと、このような考え方が一般的です。

もちろん、食事や運動は体型をつくる大切な要素です。ただ、長い目で見たときに本当に大切なのは、食べる量を無理に減らしたり、運動でできるだけ多くのカロリーを消費したりすることではないと私は考えています。

大切なのは、自分の身体が本来持っている「食欲を調整する力」を取り戻すことです。

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人間の身体は、本来「一定の状態」を保とうとする

人間の身体は、本来、痩せるようにも太るようにもできていません。

できるだけ一定の状態を保とうとする仕組みがあります。

これは、車の運転に少し似ています。

たとえば、10のガソリンを使ったら、10を補給する。

身体も本来はそれに近く、活動によってエネルギーを使えば、それに合わせて自然とお腹が空き、必要な分だけ食べるようにできています。

つまり、毎回カロリー計算をしなくても、身体が必要な食事量をある程度調整してくれるわけです。

「そんなに食べていないのに太る」のはなぜ?

ところが、現代の生活ではこの仕組みがうまく働かなくなることがあります。

たとえば、あまり身体を動かしていないのに食欲が強くなったり、満腹なのに何か食べたくなったりすることがあります。

その背景にあるものの一つが、ストレスです。

仕事、人間関係、SNS、将来への不安など、私たちは毎日の生活の中でさまざまなストレスにさらされています。

こうしたストレスが慢性的に続くと、睡眠や生活リズムだけでなく、食欲にも影響することがあります。

本来なら「10」で満足できるはずなのに、「12」や「15」まで食べないと満足できない。

あるいは、自分では「10くらいしか食べていない」と思っていても、実際には少しずつ食べる量が増えている。

そうした小さなズレが積み重なっていくと、

「そんなに食べていないのに太った」
「気づいたら体重が増えていた」

という状態につながっていきます。

ダイエットは「食事」だけを見ても解決しにくい

「食べ過ぎているから食事を減らそう」

ダイエットでは、どうしても食事そのものに目が向きがちです。

もちろん食事は大切です。

でも、食欲が乱れている原因がストレスや生活習慣にあるのであれば、食べる量だけを無理に減らしても根本的な解決にはなりません。

これは、海面から見えている氷山の一角だけを見ているようなものです。

食べ過ぎという「結果」の下には、ストレスや睡眠、活動量、生活習慣など、さまざまな要因が隠れています。

だからこそ、体型を整えるときには「何を食べるか」だけではなく、「なぜ食べたくなっているのか」にも目を向けることが大切です。

運動には「食欲を整える」という役割がある

そこで大切になるのが、運動です。

運動というと「カロリーを消費するために行うもの」というイメージが強いかもしれません。

しかし、私が運動を指導する中で重要だと感じているのが、運動によって食欲が整っていくことです。

ここでいう「正しい食欲」とは、無理に食事を我慢することではありません。

身体を動かしたら自然とお腹が空き、食べれば満足する。

食べ過ぎたときには「ちょっと食べ過ぎたな」と自然にわかり、逆に食事量が少なければ「もう少し食べたほうがいい」と感じられる。

つまり、身体の感覚を使って、自分に必要な食事量を自然に調整できる状態です。

私はこれを「食欲の適正化」と呼んでいます。

カロリーを「計算する」のではなく、身体が「感じる」

理想的な体型管理とは、毎日細かくカロリーを計算したり、食べたものを記録したりすることではないと思っています。

もちろん、記録やカロリー計算が役立つ人もいます。

ただ、それが一生続けなければ体型を維持できないのであれば、少し大変です。

本当に目指したいのは、身体が自分に必要な量を感じ取れる状態です。

たとえば、少し食べ過ぎた翌日は自然と食欲が落ち着く。

反対に、活動量が多かった日はいつもよりお腹が空く。

そうやって身体が日々のズレを感じ取り、少しずつ調整していく。

一回の食事だけではなく、数日、あるいは一週間という単位で身体がバランスを取っていく。

これが、本来の身体が持っている自然な調整機能なのではないかと考えています。

「食べないための運動」になっていませんか?

そして、もう一つ大切なのが運動の質です。

これは「有酸素運動がいい」「筋トレがいい」「ピラティスがいい」「ヨガがいい」という話ではありません。

どんな運動であっても、終わったあとに「もう二度と動きたくない」と感じるほど自分を追い込む必要はありません。それは運動というよりは「強制労働」です。

私の考える運動の目的は、心身をより良い状態にすることだからです。

嫌々身体を動かし、運動そのものが大きなストレスになってしまうのであれば、それは少し本来の目的から離れてしまいます。

運動は、自分に鞭を打つためのものではありません。

身体を動かしたあとに、

「お腹が空いた」
「ごはんがおいしい」
「今日のごはん、なんかおいしいな」

そんな感覚を取り戻せることも、運動の大切な役割だと思っています。

「痩せるため」から「身体を整えるため」へ

ダイエットをするとき、どうしても「何kg痩せるか」「何kcal減らすか」という数字に意識が向いてしまいます。

でも、身体は数字だけで動いているわけではありません。

お腹が空く。

満足する。

疲れる。

眠くなる。

身体を動かしたくなる。

そうした感覚も、身体からの大切なサインです。

だからこそ、体重を減らすことだけを目的にするのではなく、身体が本来持っている感覚を取り戻すことを目指してみてほしいと思います。

運動の目的は、ただカロリーを消費することではありません。

身体を動かすことで、食欲や睡眠、気分、身体感覚など、さまざまなものが少しずつ整っていく。

その結果として、無理な食事制限をしなくても自然と体型が整いやすくなる。

それが、私が考える「運動」の価値です。

運動による直接的なカロリー消費ではなく、「食欲の適正化」という間接的な仕組みによって痩せるのである。

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