「体力がない」
「体力が落ちてきた」
「体力をつけないと」
このように「体力」というワードは日常的に使われます。普通は「運動している人ほど体力がある」と考えますが、決してそうではありません。というのも「体力がない人はいない」からです。
つまり、誰でも体力はあるということです。
「いやいや、全然運動してないから体力なんてないよ!」という声が聞こえてきそうですが、実は「運動不足の人ほど体力がある」のです。ピンとこないかと思いますので、紐解いていきましょう。
日頃、運動をしていない人というのは、言い換えれば、エネルギーがあり余っている状態です。ゲームで例えるならHP100%の状態です。そして、多くのゲームがそうですが、徐々にHPは自動回復していき、やがて100%まで全回復します。これは人間も同じです。
そう考えると「運動していない = 体力がない」と考えるのは早合点です。むしろ、HPは100%まで回復した状態だからです。(仕事、家事、育児は考慮していません)
個人的な話になりますが、ランニングを習慣にしている僕も、数ヶ月ほど走らないことがあります。当然、走れる距離やスピードは落ちます。心肺機能も落ちます。けれど、それは「体力がなくなったわけでない」と考えています。というのも、数ヶ月もサボっていたわけですから、HPは100%まで回復し、むしろ体力は有り余っているはずだからです。
もちろん初めは「体力なくなったなぁ」と考えていましたが、よくよく考えると「いや、体力は回復してるはずだから、むしろ余っているはず」という思考に切り替えることにしました。ネガティブに考えて良いことはありませんから。
それに、日常的に走っている人ほど、逆に回復が追いついていない可能性もあるのです。80%くらいしか回復していないのに、我慢できずにまた走ってしまうことを繰り返すから疲労骨折を起こしたり、関節を痛めてしまう。筋トレでもピラティスでもランニングでも「久しぶりなのに調子がいい」と感じることがありますが、これは身体がきちんと回復しているからです。
「そんなこと言っても、すぐ疲れちゃうし」と考える人は、「体力の限界値が低い(下がっている)」と考えるのが適切です。先ほどから「%」で表記してきたのは、あくまで「その人の限界値に対する割合」だからです。
100を基準に考えると(%ではない)、運動習慣のないAさんの最大HPは「80」だとします。ここがポイントですが、限界値は80だとしても、あくまで100%の状態だということです。
スマホのバッテリーの寿命も似たようなことが起きます。本来は100あるはずですが、徐々に劣化していくので、実際には80くらいまで充電できない。けれど、一応は「100%」まで回復しているということ。本来は10時間使えるのに、8時間しか使えないということが起きます。運動もそうです。Aさんの場合は、8時間分の運動しかできないということ。限界値が低いからです。
Bさんという限界値が「120」くらいある人もいるでしょう。12時間くらい運動ができます。こういう人が、俗にいう「体力がある人」ということになります。それだけ長い時間運動ができるからです。
けれど、先ほどもお伝えしたように、限界値が120だからと言って「100%」まで回復しているとは限らないということ。さらに効率の悪いカラダの使い方をしていると「HPの減少スピードも速くなる」ということが起きます。本来は12時間運動できるはずなのに、8時間くらいしかもたない。
逆に、Aさんは限界値こそ低いものの、カラダの使い方が上手なので10時間くらい運動できる可能性だってあるのです。省エネというやつですね。
そう考えると「体力ってなんだろう?」と思ってしまいますよね。
まとめます。まったく運動習慣がないとしても、ネガティブに考える必要はないということ。むしろ、日頃から運動していないからこそ「体力が余ってる」と考え方をシフトさせることが大事です。ネガティブに考えるより、ポジティブに考えたほうが色々楽しいですよ、ということをお伝えたかったです。
常識は疑うためにある。