DIET and MONEY|自己管理能力が試される時代

  • Aさん:毎月50万円の給料を稼ぎ、毎月40万円使う
  • Bさん:毎月20万円の給料を稼ぎ、毎月5万円使う

どちらがお金が貯まっていくでしょうか。

言わずもがな、Bさんですね。Aさんのように収入が多くても、お金をたくさん使っていればお金は貯まっていきません。一方、BさんはAさんに比べると収入は少ないですが、きちんと節約しているのでお金は溜まっていきます。一ヶ月単位で見ても、Bさんは手元に15万円残りますが、Aさんは10万円しか残りません。

なので、稼いでいるように見えても、どれだけ貯蓄があるかは別問題なのです。

なぜこのようにお金の話をするのかと言えば、ダイエットとまったく同じ考えだからです。「運動してるのに痩せない」「運動してないのにあの人は痩せている」という話はよくありますね。ダイエットだから本質が見えてこないものの、お金に例えると理解しやすくなります。

ところで『運動しないと痩せない』と考える人は多いのですが、実はどれだけ運動しているかはダイエットに関係ありません。正しくは「収入と支出のバランス(カロリー収支)」で決まるからです。

  • Aさん:毎月50万円の給料をもらい、毎月40万円使う = たくさん運動しているのに、たくさん食べてしまう
  • Bさん:毎月20万円の給料をもらい、毎月5万円使う =あまり運動はしていないけど、食べる量が少ない

お金と同じです。たくさん運動しても(給料の高い人)、好き勝手に食べていれば(支出の多い人)なかなか痩せません。一方、あまり運動しなくても(給料の低い人)、食べる量が少なければ(支出を抑えている人)太りません。

もし収入がないのに、お金をたくさん使うということは「借金」をするということです。これは運動をしていないのに、たくさん食べている状態と同じです。当然ながら体脂肪は増えていきますが、この体脂肪は「借金」にあたります。例えは悪いですが、ダイエットというのは借金を返済していく作業と同じなのです。

ちなみに運動をしていないのに痩せているパターンですが、これも一見羨ましく思えますが、不思議なことではありません。というのも、運動をしていなくても食べ過ぎなければ太らないからです。これがBさんの例です。収入こそAさんより少ないものの、無駄遣いをしなかったり、節約をしたりしているので、お金はきちんと溜まっていきます。つまり、きちんと痩せていくということです。

ダイエットというと「お金を稼ぐ(運動する)」ことばかりに意識が向きますが。それよりも無駄な出費を見直すほうがラクです。収入を3万円増やすよりも、3万円節約したほうがラクですよね。必要のないものをダラダラと食べて(買って)、気付いた時にはお金がない(太ってた)というのはよくあることですから。

そして、年齢を重ねるほどに代謝(収入)が落ちてきますので、例えば、50万円だった給料は48… 46… 44…と下がってきますので注意が必要です。というのも、収入が下がっているのにも関わらず、若い頃と同じ量を食べていれば(お金を使っていれば)、支出のほうが上回りやすくなるからです(太っていく)。ただし、それでもきちんと収入の範囲内でお金を使っていれば太ることはありません(=消費カロリーの範囲内で食べていれば太らない)。運動しないことで筋肉が落ちたり、体が硬くなったりすることはあっても、体脂肪が増えていくということはありません(ただし、筋肉が落ちるので、体脂肪量は増えなくても、体脂肪率は増える可能性があります)。

これがダイエットにおける基本にして最終到着点の考え方ですが「それは分かってるけど…」というように、なかなか理解されないようです。その代わりに「最短○日で○○kg痩せる!」といった広告に釣られてしまう。これも「最短○日で○○万円稼げる!」という怪しい謳い文句に釣られてしまうのと本質的には同じです。瞬間的に稼ぐ(痩せる)ことはできても、それを維持できるかどうかは別問題で、結局は破産(リバウンド)してしまうケースと似ています。

お金にしてもダイエットにしても、私たちに求められるのは「自己管理能力」です。誰も代わりには稼いでくれませんし、お金を守ってくれません。誰も代わりには運動してくれませんし、食事をセーブしてはくれません。頼れるのは自分だけだからです。

本来、人は生まれた時から収支がバランスよく合うように設定されている、というのが僕の考え方ですが、現代のようなストレスの多い社会では、そうした脳の自動調整機能が正しく働かなくなってしまうのです。なので、ストレスマネジメントや人との関わり方、休日の過ごし方など、すべてを総合的に見直していくことも、体型管理の一環と言えます。

基本をどこまでも貫くこと

目次